クロマルハナバチを利用しない場合の交配作業
マルハナバチを利用しない場合一つ一つを手作業で人工授粉をしなければいけません。人工授粉で多く用いられている方法には花粉の付いた筆や綿棒でめしべを充分に撫でてやる方法とホルモン剤を噴霧する方法があります。ホルモン剤は吹きかけるだけで良いため筆を使用した方法より手軽ではあるがそれでも一つ一つに吹きかける必要が有るので手間はかかってしまいます。
人工授粉 写真出展:写真AC
マルハナバチ利用のメリット
マルハナバチは利用方法さえ注意すればほぼ自動でハウス内の作物の受粉をしてくるため着果作業の大幅な省略ができます。また、マルハナバチはミツバチに比べて多くのメリットがあります。
ミツバチより低温に強い
クロマルハナバチはミツバチに比べて低温に強く17℃位までなら活動することができます。イチゴなどの春先の時期からでも使用することができます。しかし逆に高温には弱いためハウス内の気温が30℃以上にならない様に管理が必要になってきます。
ミツバチよりも攻撃性が低い
ミツバチはとてもおとなしく刺されることが滅多にありませんがクロマルハナバチはそんなミツバチ以上におとなしいので自分からクロマルハナバチに対して攻撃を仕掛けていったり巣箱を刺激しにいかない限り刺されることがほとんどありません。そのためハウス内でクロマルハナバチが活動している時でも安全に作業をすることができます。
対応する作物が多い
ミツバチは蜜のある花以外への訪花の頻度が低いがクロマルハナバチは蜜が無い花でも頻繁に訪花します。そのためトマトやナス、イチゴといった蜜の無い花にも活用できます。またクロマルハナバチによって受粉した果実は人工授粉の物より着果率が高く実の質もいいものができるとされています。
導入が楽
クロマルハナバチは在来種なのでセイヨウオオマルハナバチと違い導入に許可がいらないことと万が一でも逃げてしまわないように入り口を2重構造にするなどの対策が不要であること、ミツバチよりも取り扱いが多く購入が楽にできる等他の送粉昆虫よりも導入が楽になっています。(北海道ではクロマルハナバチは取扱いできません。)
マルハナバチ利用のメリット
クロマルハナバチはとても便利ですがその利便性を完全に使いこなすには何点か注意しなければいけないことがあります。
高温に注意
クロマルハナバチはミツバチよりも寒さには強いけれど暑さには弱い特徴があります。30℃以上の環境だとクロマルハナバチが全滅してしまう恐れがあります。ハウス内の温度を活発に行動ができる17℃~27℃に調整してからハウス内にクロマルDXを設置してください。
殺虫剤はしばらく使用しない
殺虫剤や農薬の効果が少しでも残っているとクロマルハナバチが死んでしまうので、クロマルDXを設置するおよそ1月前から農薬などの散布はしないようにしてください。
UVカット性のフィルムを使用しない
クロマルハナバチは紫外線を利用して訪花、交配をしていくためUVをカットするフィルムを張ったハウスだと活動が鈍くなるだけでなく巣箱にハチが戻ってこれずに働きバチの数が減っていってしまい巣が全滅してしまう危険性があります。
ハウス外に逃げ出さないようにネットを張る
クロマルハナバチは在来種の為万が一逃げても罰則などはありませんがハウス外に出てしまうことで鳥害や逃げ出してしまうことが原因の働きバチの減少がおきてしまいます。また、ハウス外への脱走防止のネットはできるだけ目の細いネットを選択してください。4ミリ5ミリ目だとネットからすり抜けていってしまいます。
クロマルDX用の関連商品
夏のハウスは温度が上がりやすくクロマルハナバチが思ったように飛ばなくなることがあります。そんな時のためにアグリセクト様から様々な商品が発売されています。
巣箱の温度を快適に保つ「アグリセクトてきおん君」
マルハナバチは巣内温度が高くても低くても訪花活動が行われずに巣内で温度調節行動(飛翔筋を震わせての発熱行動や旋風行動を行い巣内の空気を喚起することで巣内温度を下げる)を行います。そのため働きバチの体力を消耗してしまい働きバチの寿命が短くなってしまいます。「アグリセクトてきおん君」は電源に接続することでクロマルDX等のマルハナバチの巣内温度を快適な温度(27~28℃)に自動で調整してくれます。
マルハナバチ専用補助餌
クロマルDXをハウスに設置したのにハウス内の作物の花粉が少ないため訪花行動が弱くハチが死んでしまう恐れがある。そんな時等に活用できる商品が蜜箱セット(蜂用蜜800g)と蜂用花粉(20g)です。巣箱上部の蓋を開けて設置することで花粉や蜜の不足を補うことができ餌不足によるハチの減少を防ぎます。
蜜箱セットとハチ用花粉は他社製品のマルハナバチやミツバチに使用することができません。